歯周病Q&A
こんにちは、院長の岩田です。
今回は歯周病について、患者さんから過去にあった質問をまとめてみました。
各質問に対して回答していきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
〇歯周病って何?
医学的に説明するととても難しくなってしまうので簡単に説明すると
プラーク(歯垢)中の細菌によって歯肉が炎症を起こし又それが
進行すると歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けてしまう病気です。
現在30歳以上の成人の約80%が歯周病にかかっていると言われています。
初期の歯周病は自分自身ではほとんど気づくことが出来ません。歯茎から
出血があったり歯茎が腫れてから気づくことが殆どです。歯科医院での検診や
予防として歯石の除去がお薦めです。
最近ではコロナに対する予防策として歯周治療が重要だと歯科医師会からも推奨されています。
詳しくはこちらをご覧ください。
新型コロナウイルス感染症に負けない歯と口の健康づくり|新型コロナウイルス感染症について|日本歯科医師会 (jda.or.jp)
〇なぜ歯茎から出血するの?
歯医者での歯周病の検査時やスケーリング(歯石除去)や時には歯磨きの時歯茎から出血があったりします。
これは歯周ポケット内に微小な潰瘍が出来ており、これをひっかく事により出血します。
微小潰瘍は炎症が活動期の時に形成されます。
この歯周ポケットとはテレビのコマーシャルでも良く見られるように歯と歯茎がつながっている
所までの隙間の部分です。この隙間に細菌などが入り込み増殖して歯と歯茎をつなげている
細胞を壊して歯周病が進行していきます。
一度歯周病になったらもう治らないと思いがちですが、初期の段階で適切に処置(歯石除去、
クリーニング、しっかりとしたブラッシング)などを行えば元の歯周組織に戻ることも可能です。
又中度や重度までに至った歯周病は元の健康な状態まで戻す事は出来ないですが、現在の
状態(歯槽骨が溶けた所までの状態)を維持して健康な状態まで治す事は可能です。
〇喫煙が歯周病と関係してるって本当?
喫煙によって微小循環機能が低下し(低酸素)、歯周病原菌が増加し免疫機能が低下する為歯周病が進行するとされています。
①歯周病細菌の増加 ②免疫機能の低下 ③微小循環機能の低下(低酸素)④線維芽細胞付着障害
などが引き起こされます、これによって細菌感染が慢性化し炎症反応ならびに結合組織、骨代謝の異常をきたし歯周病が増悪すると考えられています。
実際に長い間喫煙されている方の場合、口腔内の歯肉(歯ぐき)の見た目はなんともないのですが
歯周病の検査をしてみると歯槽骨(歯を支えている骨)がひどく吸収されて(溶けている)場合があります。
〇糖尿病と歯周病って関係ある?
糖尿病で血糖値(グリコヘモグロビン)が高いと血中のマクロファージが刺激を受けてサイトカインを産生します。サイトカインは炎症を促進し歯周病を悪化させます。
歯周病を治療するとサイトカインが減少します、これによってインスリンの効果が上がりブドウ糖の取り込みが増加し血糖値が改善するので糖尿病の症状が軽減します。
糖尿病の人は一般に①~③のことが言われています。
①歯周病の羅患頻度が2~3倍高い
②免疫力が低下している
③再生力が弱い
歯周病治療によって糖尿病の症状が改善することもよく知られています。
〇妊娠と歯周病って関係ある?
妊娠時に歯周病にかかっていると歯肉に炎症が起きやすく又増悪しやすいと言われています。
これは妊娠にともなってホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の量が増し口腔内細菌を増殖させるので炎症が発生し出血なども起きやすくなります。
〇歯周病で歯茎が下がってしまう?
歯周病によって歯肉退縮を起こします、これは歯周炎による歯槽骨の吸収が起こり、それに伴って歯肉も下がってきます。
他にも歯肉退縮の原因として、不適切なブラッシングや矯正治療でも歯肉退縮を起こしやすくなります。